大正×対称アリス



初めに(前書き)

今回は 大正×対称アリス について書いています。まさかこの
サイトに乙女ゲーム(でいいはず)の主観的作品紹介を書く
ことになるとは思ってもいませんでした。ただ、私はあくまで
いちエロゲーマーなので今後、乙女ゲームの主観的作品紹介が
たくさん増える事はない事と、初めての乙女ゲームの主観的
作品紹介なので、乙女ゲームを普段からプレイしている人には
納得出来ない内容になっている可能性がある事はご了承下さい。
それと私は 大正×対称アリス all in one の Switch版でプレイ
したので、原作とは一部、表現が違っている可能性があります。
そちらもご了承下さい。

総評

作品の完成度だけを考えるなら、通常のレビューでも総合点数
80 点以上は確実と言える出来でした。ただ、私はやっぱり
いちエロゲーマーなんで、プレイしている最中でも畑違い感を
感じるシーンはいくつかありましたね。ただ、それを考慮
しても、各攻略対象達との心の通わせ方。物語を進めていく
過程で明らかになる真実。それらを繋ぎ合わせてたどり着く
結末を考えた作品全体の完成度。どれも上手だったと思います。

シナリオ

シナリオは序章から始まり、闇に飲み込まれる所をアリスと
名乗る少年に助けられた後、攻略キャラクターが映る鏡に触れ
攻略キャラクターの物語に入りながらその世界を元に戻す。
そうして少しずつ物語全体の核心に迫っていく感じですかね。
大きく分けるとエピソードT。エピソードU。エピソードV。
そして最後のアリス編とでもいうべきエピソードとなっています。
各エピソード事に書いていきます。まずはエピソードTの
シンデレラと赤ずきんについてです。私は先にシンデレラを
プレイしましたが、ある意味で予想通りでした。お金持ちの
俺様系ボンボンが自分の思い通りにならない主人公の少女に
出会い「この女…面白れぇ」的な感じで興味をもって、次第に
惹かれていく…という流れはその手の女性向け漫画とかでも
ありそうな感じですし、そんなゲームがあってもおかしくない
かなと乙女ゲーを今までプレイしたことがない私でも「ああ。
王道的なやつだこれ」と思いました。ただ、予想外だったのは
中身が極めて 良質 だった事ですね。シンデレラのキャラクター
としての完成度や主人公との関係性に加えて、物語のモチーフに
なった童話のシンデレラとの融和性。どれをとってもハイレベルで
まとまっていました。それと比べると赤ずきんは中身の
やや劣っていると感じました。このお話の一番の魅力は恐らく
赤ずきんの ギャップ が本来想定しているターゲット層には
ささる人はたまらなく好きなのではないでしょうか?私は、その
想定からは外れていますけど ギャップ萌え は男女関わらず
ささる人にはたまらない属性ですからね。一応擁護しておきますが
お話自体もシンデレラと比べると劣るというだけで、お話自体は
悪くはなかったですね。エピソードT全体のまとめとしては
謎はいくつか残ったし引っかかった所もありますが、シナリオの
内容としてはかなりの物でした。シンデレラでのグレーデルと
白雪。赤ずきんでのオオカミと猟師といったキャラクター達の
サポートもシナリオの面白さの一翼を担っていました。さて次に
エピソードUについてですが、取り合えずタイトル画面の主人公に
エロさ を感じます。……大事な事なのでもう一度書きます。
タイトル画面に主人公の エロさ を感じます。……では本題に
入ります。エピソードUはかぐやとグレーデルになります。
まず、かぐやですが、最初の入り方が強引です。一目ぼれ自体を
否定する気はありませんが、もう少し捻りが欲しかったです。
そして選択肢からの怒涛の BATEND ももう少し緩和して欲しい
所です。ですが裏を返せばそれだけ面倒な攻略対象という事です。
そういう面倒くさい所もかぐやの魅力の 1 つなのではないかと
思ったりもします。エロゲでこういう面倒くさい系のヒロインが
好きという人も結構いると思うので、赤ずきんと同様に本来の
ターゲット層の中ならハマる人がいても不思議ではなさそうだと
素直に思いました。後、個人的にはエピソードTよりも主人公が
割と、あたふたしたり戸惑ったりするシーンも可愛かったり
たのでそこは満足しています。次にグレーデルですが個人的には
各攻略対象のお話の中では 個人的に一番好き です。もうね。
男女を入れ替えただけでエロゲで通用する内容だった所も、その
評価になった理由の 1 つですが、ここでは主人公の 狂気の一部
見られます。エピソードTも中々行動的でしたけど、かぐやの
話での行動で度肝を抜かれた後にコレですからね。そしてこの
狂気 はグレーデルにも言える事です。でもね。これはある意味
仕方ないですよ。あんな主人公が姉でドロドロに甘やかされたら
そりゃ狂いますし性欲も持て余しますよ。間違いなく。それを
「食べてもいいよ…」なんて……間違いなく魔女の誘惑ですよ。
そしてそれに耐えられるはずなんてありません。乙女ゲーなのに
普通にエロゲをプレイしている気分で結構ノリノリでこの時は
進めていましたね。たどり着いた結末は、まあ、ある意味順当な
感じなんで、意外性はなかったですけど悪くはないと思います。
エピソードUの全体のまとめとしては、少しだけ全体の核心に
せまりながら、シリアスさと狂気が増してきた感じですかね。
後、シンデレラや赤ずきんといったエピソードTでの攻略対象
キャラがサブキャラクターとして良いポジションで活躍していた
所も好印象です。それ以外にも白雪やオオカミと猟師も変わらず
お話をサポートしてましたね。さていよいよエピソードVです。
こちらではこれまであやふやだった全体の物語の核の部分が
少しずつ明らかになっていきます。まずは白雪ですが、正直
「またかぐやの時と同じ一目ぼれの使いまわしかよ」と、この
時は思いました(全てを知った後は少し印象が変わりましたが)
お話自体も悪くはないのですが、どちらかと言うと世界の核心に
迫る部分のイメージが強すぎて、白雪と主人公の絡みがそこまで
印象に残らなかったです。これはエピソードUの 2 人(特に
グレーデル)の印象が個人的に強すぎた事も理由の 1 つですが。
そして魔法使いです。こちらは話自体が一種の BATEND とでも
いうべき内容で、世界の核心に大きく迫りながら、歪んだ 純愛
ヒビを入れた話でしたね。これまで BATEND で何故魔法使いが
現れていたのか?彼の役割とは?この辺りが明かされていく
流れはほぼノンストップで読み進めていきました。そしてあの
結末ですよ。力技で無理くりにもっていった流れでしたけど
これこそが主人公らしいと言えるのでしょうね。エピソードV
全体のまとめとしてはいよいよ全体の物語の終点へと向かい
始めたなという印象ですね。白雪や魔法使い自体も悪くはない
キャラクターではありましたけど、エピソードTやUと比べて
恋愛的な描写がやや薄くなっているように感じました。まあ
その分サブキャラクター的に登場したエピソードTやUでの
攻略対象のキャラクターが色々と盛り上げてくれましたが。
さて、いよいよアリス編とでもいうべきラストエピソードに
ついてですが、主人公は各エピソード事のエンディング後の
世界を回りながら今までばら撒いてきた伏線を回収していき
ます。鏡の国。異なる世界。そしてアリスの正体。全てが判明
した時に物語全体の謎が判明してハッピーエンドへと向けて
全てが進んでいきます。…うん。ラストの展開には言いたい
事はありますが、一部のキャラクターの 犠牲 とでも言うべき
代償はあったものの、それ以外のキャラクターが全てハッピー
エンド…と…まあ…言えなくもない結末を迎えます。この辺りを
詳しく書くと大幅な ネタバレ になるので、 ネタバレアリ
している主観的作品紹介でも書くのがためらわれるので少し
簡単に書きますが、ラストの展開。つまり一部のキャラクターの
犠牲 の部分についてです。一部のキャラクター。ここではAと
しますが、Aは一応ここまでほぼ出てこなかったキャラクター
です(この辺りは人によっては意見が分かれる所ではありますが)
むしろこのA以外の攻略対象のキャラクター達は良くも悪くも
ここまでにプレイヤーが感情移入したキャラクター達だと思い
ます。彼らに幸せな未来を望みたくなりますし、アリスにも
主人公にも幸せになる権利はあるはずです。しかし、全てを
満たせる方法は残念ながら存在しません。だからこそAは一部を
犠牲 にしてアリスと主人公にも幸せになって欲しいと願い
そのままそれを実行します。個人的にはこの結末はAに対する
好感度。いうなればAに感情移入しているかで評価が変わると
思います。私はそこまでAに対して感情移入していなかったので
結末には文句はないんですが、わざわざ 2 ルートを用意したなら
片方ぐらいはAを優遇する話があってもよかったのではないかと
思います。例えばもう数十分ぐらい話を続けてAと主人公が幸せに
生活を送る中で昔と同じように主人公を褒める…と言った少々
ご都合主義感が増しますが 犠牲 を同じように払いながらも
こういった描写があればAに感情移入した人にとっても多少は
納得出来る展開になったのではないかと思います。個人的には
このエンドでも…まあ大きな文句はないのですが、アリス君を
優遇している現状はややAが可哀想なので、それぐらいの
テコ入れはあってもいいと感じました。ラストエピソードを
含む全体的な評価としてはシナリオはかなりの完成度です。
ラストエピソードのアリス君優遇とAの不遇に言いたいことは
ありますが、それを差し引いても完成度は高く、通常のレビュー
なら確実にはつけられる出来でした。

グラフィック

ちょっと淡いとでも言うべき各一枚絵や立ち絵が今作の雰囲気に
凄くあっていると思います。特に主人公とアリスはそれが最大限に
活かされていたのではないでしょうか?お気に入り一枚絵は
幼い頃の主人公とアリス君の一枚絵ですね。本当におとぎ話に
出てきそうな可愛さを良く表現出来ていたと思います。

音楽

音楽もかなり凝っていましたね。特にオープニング曲が 4 つの
バージョンアレンジを加えていた事からも力を入れていたと
思います。個人的にはエピソードVのアレンジが強く印象に
残っています。作品の印象的にはラストエピソードの方が
合っているような気はしますが。BGMに関しては Crystal
palace と Run for the Sun! が印象に残っています。
前者の重厚なピアノ音から感じる重苦しい雰囲気。後者の
少し早いテンポからの躍動感のあるメロディー。どちらも
この作品には欠かせないものだったと思います。

キャラクター

攻略対象キャラクターや主人公は後に回してサブキャラクター
達について書きます。と言っても基本的にはオオカミと猟師
ぐらいしか登場していませんけどね。前者はエロゲで言う所の
悪友ポジですが、要所要所でのアシストが上手すぎます。正直
攻略対象キャラクターになってもおかしくないぐらいに良い奴
すぎるんですよね。後者は主人公の兄といっていいポジション
ですが、これまたオオカミと同じように要所要所での活躍が
印象的でした。オオカミとは違う大人としての対応はとても
カッコ良かったです。さて、次は攻略対象キャラクター達に
ついてですが、一番好きなのはグレーデル。次が魔法使いで
その次がシンデレラですかね。残りのキャラクターは同列です。
シンデレラは完璧というか、理想的なキャラクターでおそらく
プレイした多くの人が好きになると思います。私も好きですが
魔法使いとグレーデルがそれ以上にグッと来たんですよね。
前者は異論はありますが、報われる事はないと理解しつつも
献身的な愛 を捧げる姿が何と言うか…心に刺さりましたね。
自身のお話の結末も賛否が分かれそうですが、アリス編の後の
描写を見れば彼にも 救い はあったと私は解釈しています。
こういう話自体が個人的に好きですし、魔法使い自身の行動や
発言も中々深く、他キャラ時のBATENDとの ギャップ も含めて
印象的でした。後者は自身のお話から 偏愛 とでも表現するべき
描写がいくつもありましたけど、それが彼自身のキャラクター
としての魅力と理解度をあげていたと思っています。主人公の
ような姉が身近にいればああなってしまう事が個人的にはとても
理解出来ますし(実際に行動を起こすかは別として)必死に耐えて
いたのに主人公から誘惑したりするんですよ。そりゃ堕ちますよ。
間違いなく。グレーデルや魔法使いにシンデレラ以外のキャラ
クターも充分魅力的だったんですけどね。特にアリス君辺りも
悪くはないのですが、全体の最後の彼を重視しすぎた描写が
個人的に引っかかった影響もあって素直に好きだと言えない
です。さて、いよいよ最後に主人公についてです。名前は後から
変更も出来ますが、初期の 有栖 百合花 のままの方が攻略対象
キャラクター達から 百合花 と呼んでもらえるので、本来の
プレイ層にはこちらの方がいいかも知れませんね。さて、そんな
彼女ですが、好き嫌いの分かれるタイプではあると思います。
頭の良さや行動力に加え度胸や思いやりもあわせもちながらも
普通の少女みたいに照れたり恥じらったりむっつりだったりする
ギャップ も素晴らしいです。もちろん容姿端麗ですし、当然
おっぱいも大きい。…いや…完全無欠に近いですね。ここだけを
見れば。もちろんこれも彼女の一面ではありますが、本当の
彼女は、凄くわがままであり 冷静に狂っています そんな部分が
垣間見えたのがエピソードUです。ここでの彼女の行動をどう
評価するか?ここが 1 つのポイントになっていると思います。
私自身は基本的に好意的にみていますが、人によっては無理と
いう人もいそうですね。

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